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「カタログで選ぶ使いやすい双眼鏡」

 このサイトで双眼鏡の取り扱いをはじめてから、何種類かの双眼鏡を使う機会に恵まれました。商品として扱っていても、商品を自前で使うようなことはできませんので、メーカーさんからサンプル品をお借りしたり、社内で購入された方に使わしていただいたりして、自分なりに「これは使いやすいな」と思った点をカタログからピックアップしてみました。サイトに掲載している「双眼鏡の選び方」は、どちらかと言えば「用語解説的」な内容ですので、こちらで僕の個人的なガイドをご説明したいと思います。

■ 「倍率」よりも「実視界の広さ」がありがたい。
 双眼鏡のカタログには、必ず「実視界」が記載されており、ニコンやオリンパスの製品には、実際に倍率と一緒に印字されているものがあるくらい重要なものなのです。
 「実視界」とは、双眼鏡の対物レンズの中心から、実際に見える範囲を角度で示したもので、同じ倍率であっても機種ごとの仕様によりかなりの差があります。
 例えば、ニコンのスポーツスターV 8x25D CFニコン リビノU 8x25 CFを比べて見ましょう。使われているプリズムの違いはありますが、どちらも対物レンズ25ミリの8倍双眼鏡です。ところが「実視界」はスポーツスターが8.2°、リビノは5.6°となんと2.6°もの違いがあるのです。
  
 違いは一目でわかりますよね。倍率が同じですから、同じ大きさに見ることができますが、見える範囲が広くなっていますね。
 見える範囲が広いということは、目的のものを早く探しやすいと言うことですね。
 スポーツやバードウォッチングなど、見たいものが早く動いてしまう状況のときは、この実視界の広さをとてもありがたく感じます。

 ※実視界と同じように使えるカタログデータに、「1000mにおける視界」があります。1000m先の見える範囲をその差し渡しの距離で表示したものです。距離が長いほど、視界が広いことになります。

■ 薄暮時や天体観測に役立つ「ひとみ径」の大きさ。
 「ひとみ径」は双眼鏡の明るさを示す数値のひとつですが、双眼鏡における明るさとはどんなことなのでしょう。
 人間の目は、明るいところでは目の瞳孔が小さくなり、目に入る光の量を少なくし、反対に暗いところでは瞳孔を大きくして、光の量を増やそうという明るさの調整機能を持っています。有名なのは、ネコの目ですが。

 人間の目の瞳孔の大きさは、明るいところではおよそ2mm程度、暗いところではおよそ7mm程度まで広がります。
 双眼鏡の「ひとみ径」は「射出ひとみ径」とも言われ、字の如く「双眼鏡から出てくるひとみの直径」を指しています。
 そこで、人間の「瞳孔」の大きさと双眼鏡の「ひとみ径」の関係ですが、もうお気づきですよね。
 双眼鏡の「ひとみ径」が人間の「瞳孔」より大きければ何の問題もありません。ところが、夕方や夜間など、人間の瞳孔が大きくなっているときはどうでしょう。
先にご紹介したニコンの例では、スポーツスター、リビノとも3.1mm、同じ8倍で実視界が8.2°のニコン アクション 8x40 CFでは5mmになっています。
 違いといえば、対物レンズの有効口径が25mmと40mmの違いです。
 夜になり、人間の瞳孔が7mm近く拡大しているときに、先の二機種は3.1mm分の光しか目に届けることができませんが、アクションは5mm分の光を届けることができるのです。
 ようするに、明るく見えるということですね。この傾向は、対物レンズの有効口径との関係が顕著で、有効口径が大きなものほど、集光力があり、ひとみ径も大きくなる傾向にあります。
天体観測や、薄暮時の野鳥観察など、明るさを必要とする時は重要な要素の一つですね。

■ 目的に合わせて形状や倍率を決める。
 形状や大きさは双眼鏡を選択する上でかなり大きな割合を占める部分かもしれません。光学的な性能に比べ、色合いや大きさ、デザインなどは直感的に好き嫌いが分かれることになるからです。
 いくら光学性能が優れていても、山本五十六型の大型双眼鏡を持って、観劇やコンサートに出かける女性は少ないのではないでしょうか。双眼鏡も、使いようによってはファッションの1アイテム。アウトドアに出かけるときもコンパクトでおしゃれなものを選ぶことになるでしょうね。でも、ここでお願いしたいのが、光学性能もきちんと確認していただきたいということです。目に直に使用する機器であることから、長時間双眼鏡を使った時に、目に害の少ない見やすいものを選んでほしいということです。
 具体的には、大手光学メーカーの小売希望価格で1〜2万円程度の商品がもっともおすすめできます。
 また、もうひとつのポイントになる倍率ですが、決して大は小を兼ねることにはなりません。中には高倍率ズームを謳う機種も存在しますが、10倍を超えたらブレがひどくなって手持ちでは目が疲れて使い物にならないということです。もちろん、単焦点に比べ、構造が複雑になりますから、光学性能も間違いなく落ちてしまいます。先に記した、「実視界」や「ひとみ径」を重視した選択をされたほうが、結果的に汎用性の高い機種を選ぶことにつながります。特別な目的が無い限り、高倍率機種を選ばれないほうが、長く愛用できる秘訣ではないかと思います。

■ 双眼鏡の使いみち
 双眼鏡は、「大きくして見たいときにあれば便利な道具」。当たり前ですがそんな印象です。双眼鏡を持ちあるくことが無ければ、きっと気づかなかったことかもしれません。「カメラで何を撮る?」と聞かれるのと同じようなものかも知れませんが、先日の体育祭などでは、息子の走る順番がわからず、カメラの望遠でのぞいても、まったくどこにいるのかわからない状況の時、「双眼鏡があったら」と思わず感じてしまいました。
 比較的外出することが好きで、あちこちお出かけになる方にとっては、もしかするとカメラより使いでのあるアイテムになるかもしれません。ありきたりかも知れませんが、旅行中の車窓から景色を見るときや、球場の外野からバッテリーを見るときなど、いままでと違った感覚を覚えるはずです。とかくバードウォッチングや星の観察が浮かんでしまいそうな双眼鏡ですが、「あなたらしい見ることの楽しさ」を見出せるアイテムに加えてみたらいかがでしょうか。

 
   
 
 
   
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