- Vol.51 -

「カメラの露出補正を使ってみよう」

 「今年の冬は暖冬になると思います」と昨年の秋口にどこかのテレビ局の気象予報士の方が解説をされていたのを思い出しました。今年は全く暖冬ではありませんね。大陸のバイカル湖付近では、氷点下60度とかいう想像がつかないくらいの寒気が生み出され、約2週間でに日本に下りてきます。テレビのニュースで家が火災になって、消防車が駆けつけても水が凍ってしまい放水ができないと伝えていました。この寒気の影響で、日本海側では連日大雪に見舞われ、大変な被害が伝えられています。
 思い返せば、子供の頃はもっと雪がたくさん降り、早朝の寒さも、今のような中途半端な寒さではなく、衣類から露出している部分が切れるように痛かったような感じがしました。自転車での通学は呼気に含まれる水分が氷になって前髪に付着し、学校に着く頃には白髪のようになってしまった経験もありました。でも、ここ数年は冬になっても寒くて寒くてどうしようもないような寒さを体験していなかったような気がします。みなさん今週の土曜日は二十四節季の大寒です。「寒中お見舞い申し上げます。」寒さによる体調不良には十分ご注意ください。

 さて、このところ、冬になって日が短くなっているためか、お客様のお撮りになった写真の中に写真の色調が青く感じられるものが増えています。もっとも、日中でも真上から太陽の光を感じる事が無く、ビルの乱立する街中では、日のあたる場所がとても少ないことに気が付きます。反対に、日の当たっている場所はかなり眩しく、ビルの陰と日の光のコントラストは、夏以上に強くなっている感じがします。
 日中、写真を写す機会があれば、わざわさ日の当たる場所に移動してシャッターを切ることが多いのではないかと思いますが、これがなかなか曲者で、日の当たる部分と日陰になる部分の明暗があまりにもはっきりとついてしまうために、輪郭がはっきりとしすぎた見た目にも硬い写真になりがちです。日の当たっている部分はコントラストがはっきりしていて、日陰の部分は全体に黒っぽく、あまり色彩を感じない、どちらかといえば青っぽく見えることになります。きっとこんな写真が、寒さを強調してしまうのではないかと思います。ちょうどアニメの「チビまる子ちゃん」が失敗して暗く落ち込んだときのカットのように、顔面に黒ーい縦縞が入ったかのような写真です。
 コンパクトカメラなどの平均的に明るさを計算する露出計を内蔵した自動露出カメラは、このコントラストのある明るい部分と、陰になる部分の明るさを平均して露出を決めてしまう構造になっています。このため、コントラストの強い明るい部分は露出オーバーになり、反対に陰になる部分は露出が不足した写真になってしまうのです。

 さて、理屈がわかればあとは補正を行えばきれいな写真になるわけですから、その補正方法をご説明しましょう。まず、露出補正の方法ですが、ほとんどのカメラには露出補正機能が装備されており、逆光の補正や前記の例などの場合に修正をかけることが可能です。この場合、概ねカメラが決めた露出からマイナス方向に0.5か1程度下げてやると、露出がオーバーになった部分を適正値に補正して写すことができるため、背景の陰の部分はいっそう暗くなりますが、人物などの写したい被写体をきれいに写すことができますよ。

 次に、スキー場で写真を写すことを想定してみましょう。スキー場は天気さえ良ければ光をさえぎるものがありません。また、スキー場には雪があります。雪って基本的に白いものですね。このような場所で人物などの写真をとったらどうなるでしょう。人物に比べ、雪は光線の反射が強い上、色も白いことから、人物より明るく見えることになるのです。カメラの自動露出も同じように、人物より、背景の白さを強く感じ、人物などの明るさを逆光などと同じように、黒っぽく写しとってしまうのです。このような時は、逆光補正と同じように補正値をプラス方向に修正したり、補助光としてフラッシュを使うことによりきれいな写真にすることができます。
 でも、ここで注意をひとつ。風景を中心とした写真を写そうとしたときは、白い雪を白く写さねばなりません。前述のとおり、雪は光線を多く反射します。このため、カメラには通常の撮影では考えられないほどの光が飛び込んできます。これは、夏の海辺での撮影でも同じことです。
 この結果、カメラの自動露出はとても明るいものを写そうとしていると判断して、露出を少なくする傾向に動作します。でも、実際は明るいものなのですから、カメラが設定した露出値よりも更に明るく写す必要が生じます。普通に補正をしないで雪の写真を写したときに、写真の雪が灰色に写ってしまうのはこのためです。白いものをより白く写すときは、補正をプラス側に修正する。暗いものを明るく写そうとしたら補正をマイナス側に補正すると覚えておきましょう。

 このことは、白黒写真を例にあげて説明できます。白黒写真は、フィルム上に黒く像が出ている部分が、印画紙(写真プリント)上では白くなって写ります。これは、フィルム上の黒い部分は、焼付けのとき光を透過させにくくなり、印画紙上に届く光が少なくなることから、フィルムの黒い部分の濃度が濃くなればなるほど印画紙上は白くなるのです。では、写真全体を白っぽい写真にするにはどうしたら良いでしょう。そうです。フィルムの黒い部分をより濃くしたら良いのです。カメラの操作では露出をオーバーにするのです。反対に写真を黒くしたければ露出をアンダーにすれば、フィルム全体の濃度が薄くなり、黒いプリントにすることができるのです。
 これは、カラーネガフィルムにおいても同じ理屈です。カラーネガフィルムは色調の反転はあるものの、カラーで白黒の被写体を撮れば同じことです。スキー場で背景を雪にして、黒子を日中順光線でとれば、立派なカラーフィルムを使った白黒写真です。
 冗談が過ぎました。
 まとめると、人物などを写すときは、その人物が写真の中心(主題)ですから、その人物をきれいに写すことが一番大事ですよね。その人物が、周りの背景と比べてどう見えるか?(カメラが見るとどう見えるか)を判断することが大切なのです。明るいのか、暗いのか、ちょうど良いのかを判断して、「明るければマイナスへ補正、暗ければプラスへ補正」と覚えておけば、大抵の露出補正は理解できるものと思います。
 これはある程度経験が必要かも知れませんが、多少なりともわかっているのと全く知らないのでは、仕上がってきたプリントを見ても、次からどのようにしたら良いかの判断ができませんよね。
 カメラの全自動化が完成したかの感のある昨今。自動になったからすべて上手に撮れるものではありません。プロの撮る写真は、ピント、露出、構図の3つの要素がきちんとできているからきれいに見えるのです。このところピンボケ写真のブームがあったようですが、やはり本来の写真は前記の3要素がきちんとまとまった上で、はじめてきれいな良い写真と言えるのではないでしょうか。

 
   
 
 
   
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