- Vol.54 -

「マニュアルカメラの再来なるか?」

 昨日、ニコンのサイトから新製品情報が飛び込んできた。この春に発売される一眼レフ型デジタルカメラの2機種と、十数年ぶりにニューモデルとなる名機NewFM2の後継になるFM3Aという機種が4月下旬に発売になるようです。
 残念ながら、今までマニュアル専用機であったNewFM2は無くなってしまうようですが、どんな状況においても機械シャッターが動作して、写真を写せる機能は残されたようです。もともとカメラ自体は機械仕掛けがルーツです。決められたタイミングで指定された絞り値まで絞りを瞬間的に動作させ、同じタイミングでシャッター幕を開閉することがカメラの基本形です。いつからか、露出を計測する露出計のために電池が内蔵されるようになり、それがシャッター速度を制御するようになって、シャッターユニット自体が電子化されるようになってしまいました。一旦内蔵された電池は、しだいに絞りを制御し、絞りとシャッター両方をコントロールするプログラム自動露出が主流になり、最近のものは、露出ばかりでなく、ピントあわせ、フィルムの巻き上げ巻き戻しまで支配してしまいました。

 確かに、この自動化によって、撮影者はピントや露出に気を配る必要がなくなり、写したい被写体に集中することができるようになり、普通に使用する限りピンボケや露出オーバーや不足という事態を回避することができました。
 このためか、最近のフィルムにもあの懐かしい露出の目安表が無くなってしまいました。あまり気にしたことは無いかもしれませんが、以前のフィルムパッケージにはフィルムのマニュアルのような紙が1枚入っていました。(富士フイルムさんにお伺いしたら、今でもカラースライドとネガカラーのISO1600の35ミリフィルムには入っているそうです。)そこには、天候のマークとシャッター速度1/125秒の時の適正絞り値の表示が記載されていたものです。昔のカメラ(僕が子供の頃です)は、露出が自動になっているのはかなり新しい最新鋭機であり、写真を撮る前に天候の状態とカメラの絞り値、シャッター速度を設定してから、ピントを合わせてシャッターを切ったものです。このため、現在のように感度400とか800という高感度のフィルムもほとんどなっかたことから、ISO100のフィルムで曇りの日や日陰で撮影するときは、絞りがF5.6でシャッター速度が1/60秒などとあらかじめ暗記した値を設定して写したものです。もちろん、その頃は白黒フィルムでしたが。

 古い話はこれくらいにして、今回発売されるFM3Aは型番にAの文字がつく事から想像される方のおられるのではないかと思いますが、案の定絞り優先の自動露出とストロボを使用したときのTTL測光が採用されました。ちょうどニコンのカメラの歴史で言えばベストセラー機のFEというカメラと自動露出機構は同じになったと言うことです。
 FMという型番は、かねてからマニュアル専用機として販売が継続され、一眼レフを勉強しようという人にとっては、ピント合わせから絞り値の設定、シャッター速度の設定をすべて自分で設定することしかできなかったため、写真露出の仕組みやカメラの構造を知る上でもかなり使いでのあるカメラでした。もちろん、今回自動露出が組み込まれはしたものの、電池無しでの全帯域でシャッター速度が有効になる機械式シャッターが採用された事や、被写界深度の確認が行えるプリビューレバーも残されたこと、なによりセルフタイマーがゼンマイ式なことが、どことなく旧機種のスペックを感じさせてくれます。

 同時に発売になる久々のAiニッコールレンズは、45ミリF2.8が1本のみですが、このレンズの薄さと言ったら他に例を見ないぐらい極薄マニュアルフォーカスレンズです。指の太い方は、ピントリングと絞りリングが別々に回せなくなりそうな感じです。もちろん、旧来のAiニッコールや現行のAiAFニッコールレンズも装着が可能ですから、レンズの種類も豊富にセットできます。「今時わざわざマニュアルのカメラなんて」という声が聞こえてきそうですが、電池も放電しなくなりそうな酷寒地での撮影や、旅先で電池が無くなって撮影ができなかったという経験をお持ちの方には、電池が無くても写真が写せるカメラと言うのは価値があります。普段はオートで気軽に撮影し、困ったときにも撮影が続けられることと、カメラメカに興味を感じられる方には、機械式でもここまでできる日本のカメラ製造技術を改めて世界に誇れる一台では無いかと思います。

 デジタルカメラがもてはやされている昨今。電池無しで映像記録が残せることはとても脅威です。電子化が進む中、巻き上げレバーでフィルムを巻き上げて、ガシャとシャッターを切る。少し年の行った僕らにはとても懐かしく感じる新製品発表のニュースでした。

ニコン・FM3Aニュースリリースページ
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2001/fm3a_01.htm

 
   
 
 
   
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