- Vol.44 -

「写真展を見に行こう 」

 先日、当社のお取引先の方から一通のメールが届きました。
 「会社の近くのフォトサロンで所属する写真グループの写真展を開催しているからぜひ見に来てください」と言う内容でした。
 幸い、開催されているフォトサロンは当社の場所からとても近く、今度、お取引先の方とお会いした時の話のネタにでもと思い、昼食を兼ねてふらっと立ち寄ってみました。

 メールをくださったお取引先の方は、商談の合間に、「カメラを少しかじっています。」と何度か伺ったことがありましたが、「ほんの趣味程度です。」と話されていたことから、僕は時間を見つけてスナップを撮る程度だろうと思い込んでいました。
 ところが、びっくりです。

 「グループMEW写真展」とタイトルが掲示されたブースには、30点以上の目から鱗が落ちるようなカラーリバーサルプリントの写真が整然と展示されていたのです。出品者各自のテーマは自由との事でしたが、誰が見てもキレイ・美しいと感じる風景写真を中心に、春夏秋冬の季節を見事に写し込んでいたのです。
 グループ写真展は、写真愛好者が集まり、それぞれのテーマで撮り集めた写真をお一人2点づつ展示をしたとのことですが、それぞれの作品に季節感と色彩感を感じられるとてもさわやかなもので、気持ちが洗われるような感じがしました。

 11月17日付朝日新聞の天声人語に、「10年前の今日、雲仙・普賢岳が噴火した。噴火から今日まで日々変わり行く普賢岳の写真を撮り続けた西川清人さんが東京で写真展を開く。写真展に展示する40点の写真を選び終えた翌未明、心筋梗塞で死去・・」という内容の記事が掲載されていたのをご存知の方も多いと思います。妙にこの記事が印象に残ってしまった僕は、今日再びフォトサロンを覗いて来ました。
 そこには、「普賢岳-10年間の記録」と題され、火鉢の中で燃焼する堅炭のような溶岩の写真がありました。グレーの灰に覆われた民家の写真がありました。緑が芽吹き始めた夏山の写真がありました。西川さんが目にした光景ではなく、カメラのレンズが見た普賢岳の写真がありました。
 「写真」はその字のとおり、「真実を写す」と言う意味です。実際に見たままの映像を写し込んだ写真の筈なのに、レンズのフレアーや露出を調整することにより、撮影者の意図した情景を写真に語らせることができるようになるのですね。四角いフレームに収まった新聞紙程度の映像が、記録された瞬間に聞こえた音や感じられた熱気、写真に写っていない人々の叫びが聞こえて来るように感じられるのです。

 それにしても、このところ思わず「キレイ」と感じる写真を見る機会が少なくなっていることに気がつきます。先日お会いしたこのサイトの「日本の四季を撮る」の素材写真のご提供をお願いしている堀内敬一氏が、「フィルムカメラで苦労して撮影したスライド写真が、Webに加工されてしまうとどこと無く色褪せて寂しい気がする。」と話されていたことがとても気になります。
 このところ、e-cameraにご案内をいただくお客様のホームページや、写真関連のWebサイトには、写真が満ち溢れています。ところが、画面で閲覧するという環境では、写真展で見るような迫力や被写体の質感が伝わってこないのです。この辺が今のところデジタルの限界なのでしょうか。
 もちろん、サイトを運営している立場から言えば、できるだけキレイな画像を掲載したいと願わないわけではありませんが、画像データの性質上、画質を上げると表示完了までの時間が著しく長くなることや、表示できる解像度もできるだけ多くのお客様が画面いっぱいで見られるように工夫しなければなりません。どちらかと言うと、画質と言うより時間優先傾向にあることは間違いの無い事実です。
毎日、画面上の写真ばかり見ていると、それが当たり前のように見えてしまうのはとても嘆かわしい事だと思います。

 この業界に就職してからもうすぐ20年になろうとしています。今まであまり感じることがなかった「事実を語る写真」そして、「心が洗われるような写真」を鑑賞する機会を得るために時間を割くことをためらってはいけませんね。

 フォトサロンの会場には多くの訪問者が、写真に吸着されたかのように一言も語らず見入っている姿が印象的でした。ほんの少しの時間と情報で、すばらしい気持ちにさせてくれる写真展。銀塩フィルムの奥深さと表現力の豊かさを目いっぱい使いきったプリントの素晴らしさを体験しに、お近くの写真展を覗いてみたらいかがでしょうか。きっと何か感じるものがあると思います。

<普賢岳-10年間の記録>
「この10年、私は自然の偉大さ、美しさと、人間の存在の小ささを全身で受け止めてシャッターを押し続けてまいりました。きっとこれからも、島原の土に戻るまでそうしていく。」…西川清人
■富士フォトサロン東京にて11/23まで。時間10:00〜20:00(最終日は14:00まで)
  東京都中央区銀座5-1 銀座ファイブ2F(旧スキヤ橋センター)
  http://www.fujifilm.co.jp/photosalon/index.html
参考:朝日新聞 11/17掲載 天声人語より

 

 
   
 
 
   
  aosans.com