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「 赤とんぼ 」
秋も深まりもう晩秋と言ってもおかしくない季節になりました。
秋の陽は「つるべおとし」といって、あっという間に日がくれてしまいます。
子供のころ家までの最短距離を選び、稲刈りの終わった田んぼを横切って帰る時に、夕焼けに赤く染まった西の空を数え切れない赤とんぼが、終わり行く秋を告げていたような気がします。
赤とんぼは日本特産種の「アキアカネ」が正式な名前です。夏の始まり6月ごろに平地の湿地や水田でヤゴから羽化し、その大部分は近くの山地へと移ります。暑さの厳しい夏の間は、涼しい山地でえさをとり、秋風が立つ初秋ころ、成長して体の色も赤くなりもとの平地に戻ってきます。
腹部が黄色味の強い赤色をしているのが雄で、少し赤くなる程度のものが雌です。
雌雄が連結して水を打ちながら産卵する姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。産卵した卵はそのままの状態で冬を越します。やがて春になると、湿地や水がたまった水田でふ化し、ヤゴになります。ヤゴは成虫の赤とんぼとは似ても似つかない水棲生物ですが、羽化することにより日本人に郷愁を思い起こさせる赤とんぼへと変身するのです。
日本の童謡に「ゆうやーけ こやけーの あかとんぼー 〜」と歌い出す「赤とんぼ」がありますね。
近年では年末の某テレビ局の歌合戦などで○○姉妹が澄んだ歌声で歌っていたのが印象に残っています。
「赤とんぼ」の歌で有名な兵庫県龍野市は、人口約41000人、関西地域ではとても有名な醤油メーカーの工場や醤油博物館があったり、夏の涼しさを呼ぶ「そうめん」で知られる揖保川が流れている内陸の町です。また、寛文12年に信州飯田から脇坂安政公が移って築城した龍野城(現在は復元されたものです。)や武家屋敷跡、「三木露風」の歌碑と筆塚がある如来寺など、歴史を感じさせる建物などがたくさん残っており、とても風情があります。
また、ここは歌の作詞者である「三木露風」さんが生まれた町で、赤とんぼにまつわるいくつかの名所があります。白鷺山展望台への登り口から「赤とんぼ歌曲碑」に至る「童謡の小径」には、赤とんぼの歌にちなんで植えられた桑の木や、「里の秋」「七つの子」などの愛唱歌の歌曲碑あります。
「赤とんぼ」は三木露風さんがトラピスト修道院からふるさとの秋を思いだして作詞をしたと言われています。きっと瞼の裏には無数の赤とんぼが夕焼けに向かって飛び交っていたのだろうと思います。
三木露風作詞、山田耕筰作曲のこの歌は、平成9年度より小・中学校で歌唱・鑑賞すべき曲から外れ、学校で聞くことが少なくなってしまいましたが、それまでは小学校6年生で鑑賞すべき楽曲に、中学1年の歌唱教材として取り上げられていましたので、一度は歌われたことがある方が多いのではないかと思います。とても短い歌ではありますが、その歌詞やメロディーから都会ではなかなか見る事ができなくなった終わり行く晩秋の風景を思い浮かべるのは、僕が田舎育ちだからでしょうか。
晩秋の風景を思い浮かべると「赤とんぼ」や「夕焼けこやけ」、「たき火」など、日本の四季でもっとも美しいとされる秋の情景を歌った童謡が多いことに気がつきます。さわやかな初秋から冬を迎える準備を急ぐ今ごろの季節、なにかと人恋しい季節でもありますよね。読書の秋ともいわれ長い夜を読書だけで終わらせてしまうのはもったいないですよね。紅葉の季節も終わりに近づき、写真を撮る機会も減ってしまいそうですが、今週の終末は金曜日からの3連休の方も多いと思います。お友達を誘って童謡の世界を写真に残す晩秋旅行の計画でもおたてになってはいかがでしょうか。きっとあなただけの心の秋が見えてくると思います。
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