双眼鏡と単眼鏡・天体望遠鏡との違い

 最大の違いは、立体感が得られること。ご存知のように人の目は、両眼で見ることにより、距離感や立体感を感じ取ることができます。これは、左右の目の視差によるもので、近くから遠くまで連続した距離感を持つことができるようになっています。双眼鏡も理屈は人間の目と延長線上にあり、両眼で見ることにより立体感を得ることができます。ただし、距離感については遠景を近づけて見ることができるようにすることから、それを感じ取るには感覚のズレの補正が人の側で必要になります。

 一方、単眼鏡(フィールドスコープを含む)や天体望遠鏡は、両眼で見ることができませんので、立体感や距離感が感じれないことになります。

 また、天体望遠鏡は、映像の上下がその観察物の性質上あまり必要がないことから、上下左右が反転して見えるようになります。


双眼鏡は倍率が高いものほど良い?

 双眼鏡の倍率は、見たいものまでの距離を、その倍率で割った距離から見たときの大きさで見えると言うことです。標準的な8倍程度の双眼鏡では、実際に1000m先にあるものを125mの地点から見たときと同じ大きさに見えると言うことです。

 劇場などの2階席から、舞台までの距離が30m程度だとすると、8倍では、舞台から3.75mの地点から見ていることになり、その見掛け視界の中に全身を収めることができません。ところが、5倍程度のものを用いれば、6m地点から見ていることになり、舞台上での演技や全体の動きが確認できますね。

 また、湖上の100m先の白鳥など、比較的大きな鳥を見るときは、10倍程度の双眼鏡を用いることにより、10m地点まで近づいて見るのと同じように見ることができます。
 このように、双眼鏡はその使用目的により、適切な倍率のものを選択したほうが良いとお解りいただけるかと思います。
 でも、使用目的が多岐にわたり、「目的別には予算がかかりすぎて」という方のために、ズームタイプの双眼鏡もありますからご安心くださいね。

 また、双眼鏡の構造上の問題で、倍率が高くなるに従い、視界が狭くなる、手ブレが大きくなる、ひとみ径が小さくなるなどの使いにくさも出てきます。何が何でも高倍率というわけには行かないのです。


双眼鏡の形状について

双眼鏡はその大きさや形状、使用されているプリズムの構成により大きく4つのタイプに区分されます。

 

ポロプリズムの大型タイプ
 前から見るとM字型をしています。
 このサイトでは、山本五十六タイプと呼んでいます。
 対物レンズの口径を大きくすることが容易なため、天体観測や海洋観測・監視業務などに最適です。反面、大きさが大きくなることになり、携帯性はよくありません。皆さんが一般的に想像される双眼鏡の形状です。

 

ポロプリズムの小型タイプ
 前から見るとU字形をしています。
 前から見ると接眼部より対物レンズが内側によっている寄り目型です。
 山本五十六タイプのプリズム部分を反対に付けたような形をしており、比較的小型になるため、携帯性も優れています。

 

ダハプリズムタイプ
 前から見るとH字型をしています。
 対物レンズと接眼レンズ部分を1直線に並べたもタイプ。小型望遠鏡を2本並べたようなスタイルです。
対物レンズから接眼レンズまでの光軸を一直線にできるため、小型で軽量になり、特に携帯性が優れています。

 

オペラグラス
 光学系にまったくプリズムを使用していない双眼鏡です。ガリレオ形双眼鏡とも言われ、レンズのみで構成されているため、比較的安価です。その分、解像度や倍率が制限されており、おもちゃに近い存在となります。


メガネをご利用の方のチェックポイント、アイレリーフについて

 アイレリーフとは、双眼鏡のひとみができる位置を、接眼レンズから測った長さです。一般的にメガネをご使用の方は、接眼レンズから目までの間にメガネを介して接することになり、目の位置(アイポイント)が接眼レンズからはなれることになり、外周視野をケラれることがあります。これを防ぐため、アイレリーフを長く取り、目の位置を離しても全視野を見ることができるようにしたものを、ハイアイポイント双眼鏡と言い、アイレリーフの長さが15mm以上のものをこう呼んでいます。

 
 
   
   
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